大阪大学 田島研究室

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研究分野

超伝導や金属-絶縁体転移を中心とした物性物理。



研究目的

十数年前の銅酸化物超伝導体の発見によって、それまで絶対温度10K以下の極低温の現象とされてきた超伝導現象は、一気に1桁以上高温の世界のものとなった。「低温物理」という分野の存在からわかる通り、極低温の世界では常温とは異なる物理法則が支配している。その意味で、極低温の現象であった超伝導が高温で出現したという事実は、従来の物理学を越える新しい"何か"の存在を示すものとして、世界中の研究者に大きな衝撃を与えた。ところが、「なぜそのような高温で超伝導状態になるのか?」という基本的な問いへの答えは、未だ見つかっていない。この問題解決は、我々物理研究者に課せられた課題である。このような基本的な謎の追求を中心とし、この十数年間の高温超伝導研究によって見つかった様々な特異な現象、たとえば電子が自己配列したり、不均一に分布する現象などの現象解明を目指す。さらに新しいメカニズムに基づく"より高温の"新超伝導体の探索も、常に頭の隅に置いて研究に取り組むものとする。

また、銅酸化物超伝導体の発見以来、高温超伝導の出現には電子間の強い相互作用が密接に関わっているのではないかと考えられている。この観点から、強い電子間相互作用を持つ“強相関電子系”が脚光を浴び、高温超伝導、モット絶縁体、金属転移、電荷・軌道整列現象、巨大磁気抵抗効果などの興味深い物理現象が研究されてきた。この強相関電子系を対象に新しい量子臨界現象を探索し、そのメカニズムの解明や制御を行う。

物性物理と呼ばれる"物質の研究"は、"宇宙を支配する大法則を解明する"という物理学の大きな目的から見れば、各論のように思われがちだ。しかし、物性の中に宇宙の大法則が潜んでいる可能性もあるし、我々が手に取って見ることができる物質の観察を通して、宇宙の法則に思いを馳せることもできる。当研究室への所属、進学を希望される方には、いろいろなことに興味を持てる柔軟な頭の持ち主を期待します。

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研究テーマ

様々なエキゾチック超伝導体の超伝導メカニズムや新奇現象の解明。
強相関電子系における新しい量子臨界現象の探索とメカニズムの解明。



研究内容の紹介

研究の出発として、純良な単結晶育成を含む試料作製を行います。エキゾチック超伝導の舞台となりうる諸物性について、主に電荷応答(電気抵抗などの輸送特性、光反射やラマン散乱など)の測定を通して研究を行い、超伝導メカニズムの解明を目指しています。電子間及び電子格子間に強い相互作用がある物質系が示す特異な現象が主な研究対象です。以下では銅酸化物、鉄ニクタイド系の超伝導とテラヘルツ分光測定について紹介しています。また最近の成果については主な成果の紹介活動記録を御覧下さい。

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超伝導とは、ある温度(転移温度)以下で急に電気抵抗がゼロになる現象です。それ以外にも磁場の侵入を遮蔽するマイスナー効果や、量子効果を巨視的に観測することのできるフラクソイドの量子化など、様々な興味深い物性を示します。超伝導の歴史を見ていきますと、1911年のK.オンネスによる超伝導の発見以来、多くの単体金属および金属化合物において低温で超伝導になることが発見されました。その原理は長らく未解明でしたが、1957年に提出されたBCS理論により、2つの電子が格子を介して引き合い、電子対(クーパー対)を作ってボーズ粒子のように振る舞うことが超伝導の発現機構であると提唱され、転移温度が数K~二十数K程度と比較的低い金属超伝導体をうまく説明することができました。長らくBCS理論では転移温度は40Kを超えることは難しいと考えられていたため、1986年に銅酸化物高温超伝導体の発見により転移温度が飛躍的に上昇し、液体窒素温度(77K)をも超えるようになったこと(現在最高は160K)は大きな驚きをもって迎えられました。高温超伝導体の発現機構をはじめ様々な現象がBCS理論で説明できないことから、以来その超伝導発現機構の解明や応用を目指して、世界中で精力的に研究が進められています。また最近では2008年に東工大の細野グループにより全く新しい高温超伝導体である鉄ニクタイドが発見され、非常に大きな注目を集めています。当研究室では超伝導体試料を自ら作成し、その光学測定・輸送測定を行うことで高温超伝導発現機構の解明を目指しています。

THz-system

高温超伝導の発現機構を解明するためには、電子が固体中でどのように運動しているかを明らかにすることが重要となります。これまではフーリエ変換型赤外分光(FT-IR)などの光学測定の手法が用いられ、多くの業績をあげてきました。しかし従来の測定手法では、光源の問題などから物性を支配しているフェルミ準位近傍の低エネルギー領域の測定が困難であったため、これまでは外挿という形で低エネルギー領域のデータを”仮定”することでしか電子の状態を知ることができないという大きな問題がありました。現在当研究室では光源としてテラヘルツ(THz)波を用いた新しい分光法であるテラヘルツ時間領域分光(THz-TDS)の装置を立ち上げ、測定をおこなっています。テラヘルツは電波と光のちょうど中間の領域に相当する電磁波で、物理だけでなく生物、化学、医学などの幅広い分野で基礎研究と応用の両面から現在盛んに研究が行われている領域です。THz-TDSでは低エネルギー領域を測定できるだけでなく、反射率の振幅と共に位相の情報を得ることができるため、光学定数を直接測定することができる画期的な手法として期待されています。当研究室では銅酸化物高温超伝導体La2-xSrxCuO4においてホール濃度の違いによる系統的な電子状態の変化を観測することに成功しています。

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